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2024年7月 7日

初めて見たH3ロケットの迫力

 今月1日に「宇宙に一番近い島」である種子島の南種子町で初めてH3(次世代の大型基幹ロケット)の発射を肉眼で見る機会に図らずも恵まれた。
ロケット発射場から3キロ以内は安全上から立ち入り禁止である。それでも町内の4ケ所のロケット見学場で、一番近い見学場所である恵美之江展望公園近くで見学出来たのは、幾つもの幸運に恵まれたお陰だった。まさに、シニアの私には冥途の土産に相応しい程の貴重なものだと変に得心した。
 と言うのも、当初の打上げ予定日は、6月30日で、その前日の昼には翌日に発射延期の報道があった。通常の発射延期は一週間程度が普通だとホテルの関係者が教えてくれた。だから多分の天候の影響を念のため考慮してのことだろうと。種子島の天気予報は、曇りのち晴れだが、やや風があったからだと私も納得した。

発射1時間ほど前にその公園広場に着いた。発射場が海を隔て約3キロ先にはっきりと肉眼で見える絶好の見学ポイントだった。
既に多数の見学者が、様々な場所から望遠カメラを設置して準備万端、その時に備えて待っていた。中には、早めにお昼の弁当を食べている人達も多数いた。小学生も数人、学校を休んで見学しに来ている親子もいた。めったにない社会見学だろう。                           

カウントダウンのアナウンスは1時間前から見学場で行われていた。そして、いよいよ10分前から緊迫感がさらに強く感じられるようになった。
発射当時の天候は全て良好だと皆も感じていた。そして、
発射の12時6分46秒の30秒前からカウントダウンの大合唱となっていた。
そして、大きな白煙とオレンジ色の噴射が少し見えて、ロケットは上昇し、さらに加速してしながら上空にバリバリバリと空気を割く爆音を残して上がって行った。何とも言えない迫力が伝わって来た瞬間でもあった。テレビ映像では味わえない現地の空気感が今も鮮明に覚えている。前回も成功したH3ロケットだが今回も成功して欲しいという皆の期待を背負ってロケットを見守る雰囲気が現地で見ている皆の心底にあることが解る瞬間だった。
素人の私にも90秒が長く感じられた時が過ぎた。補助ロケット切り離しが確認されると近くにいた初老二人の島の住人らしき男性も安心した歓声を上げていたのが、印象的だった。

終わってみれば、僅か二分に満たない短時間だったけれどもこれからの日本の宇宙開発の新たな段階に突入した画期的な瞬間に出会えたことは、嬉しい限りである。
何故なら、H3ロケットは、日本の主力ロケットである「H-IIA」ロケットの後継機として、20年間の運用と年6回の打ち上げを目的として2015年よりずっと開発が進められていた。H3ロケットは国内の衛星打ち上げだけでなく、海外からの衛星打ち上げ受注を目指す ために、柔軟性・高信頼性・低価格の3つを特徴としていることを現地で知ったからである。
そして、今回のH3ロケットは、陸域観測技術衛星「だいち」の光学ミッションを引き継ぐ先進 光学衛星「だいち4号」を搭載して打ち上げられてもいた。
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