最も不要な筋肉が活躍する
大谷選手の二度目の肘の手術に関心があって、もっと詳しく知りたいと思いネットで色々と読んでいたら、筋肉について面白いことが解った。
人の体には約600ほどの筋肉があり、そのうち自分の意思で動かせる筋肉の随意筋は約400程あり、身体を動かす際に使う骨格筋である。
また、心臓や内臓や血管の筋肉などは自分の意思では動かせない筋肉は不随意筋と言われ、約200個ほど存在しているとか。
しかし、人間の進化の歴史から不要になっている筋肉がある。目に見えてわかりやすい進化の名残の一つに「長掌筋」という名の筋肉がある。腕を机などに平らな場所にのせ、手の平を上に向け親指と小指をくっつけると、1本の筋のようなものが浮かび上がってくる。これが長掌筋に繋がっている腱である。実は、生まれつきこの筋肉がない人も一割程度いることを知ってかなりびっくりした。
手首を曲げる筋肉は長掌筋以外にも橈骨と尺骨側に二つあり、中央にある長掌筋の有無で握力や腕力の差はないことも分かっている。長掌筋が欠損していたとしても全く問題はないらしい。
投球の繰返しに伴い野球選手に起こりやすい肘の故障を総称して「野球肘」と言われ、そのうち肘内側側副靭帯の損傷は社会人やプロ野球などの投手に多くみられる。大谷選手が2018年に最初の肘のトミー・ジョン手術を受けた際に右手のこの長掌筋腱を使用している。
しかし、今年の二回目の手術は移植腱が生着するまで人工靭帯が関節を支える「ハイブリット術式」のようで、左手?の長掌筋も使用しているとする一部報道がなされている。(その真偽のほどは定かではないが最初の手術では右手の長掌筋を使用している)
日本人のメジャーリーガーでは、2021年に前田健太選手(現デトロイト・タイガース)がハイブリッド手術を受けたことが報道されている。
いずれにせよ人間に不要な筋肉があること自体驚くばかりだった。また、もうこれが最後の手術だと大谷選手も自覚しているような言動もあった。
なおトミー・ジョン手術で運動機能を向上させることはできず、インターナルブレース(人工素材)もあくまで靱帯が成熟するまでの間、関節を支えるためのもので、手術で球速が増すことはないそうだが、投球は下半身や体幹をリハビリ中に補強し鍛えあげているから完全復帰できることらしい。
メジャーリーガーも大変な試練を経て活躍している現状を知って、もう凄い世界であると改めて思った。しかし、計画的な大谷選手も残りの選手生命を考えて、メジャー制覇を数度は必ずや達成してくれるではあろうと楽しみに期待している。
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